• 弦巻啓太

飛ぶな、駆け抜けろ。


ご報告が遅くなりましたが、一昨日、弦巻楽団#33『ワンダー☆ランド』は無事に全10ステージをスタッフキャスト誰一人怪我をせずに終演できました。 終わってみれば、劇団としても過去二番目の観客動員数となり、弦巻楽団の集大成と位置付けていた自分にとって、すごくありがたい結果となりました。

もちろん、肝心なのは一人一人の観客にどんな交換をもたらせたか、です。観客の心ひとつひとつに何を残せたか。我々は今回の観客の皆さんとの経験を次の何につなげるのか。課題は続きます。

初日明けてから、少なくない方の数がリピート観劇に訪れました。すごいパターンでは終演後、受付で翌日のチケットを購入される方も結構いらっしゃいました。何よりグングンと当日券を求める方の数が増えていきました。お客様の『ワンダー☆ランド』を楽しんでくれた声が、届いていたように思います。

お客様のツイッター上での感想をまとめました。 https://togetter.com/li/1388177

ライターのニオさんがブログを書いてくださいました。 http://www.freepaper-wg.com/archives/19664

本当に怪我をしなくてよかった…。あの段差と高さの中、あの人数であのスピードで動き回るのは結構な修練が必要になります。しかも、自分は中でも常に走り続ける、『ワンダー☆ランド』の象徴的存在、白鳥ゼロ役の佐久間泉真に

「段を飛び越えるんじゃなく、駆け抜けてくれ」と伝えました。

あの段差は、いつの頃からか奈落と出演者が呼んでいた一番深い箇所は、人生のなにがしかを表していました。そこを、ゼロは駆け抜けて欲しかった。佐久間は、その要求の意図を理解し、常に全ての段を、地面を蹴るように駆け回りました。

作品は常々言ってるように自分にとって「最高傑作」だと思ってました。大好きな、特別な作品でした。出演者の遠藤洋平が言ってくれたのですが、全ての弦巻楽団作品のグレートマザーのような作品でした。自分のアティチュードも、舞台でやりたいことも、殆どがここにあるような。

それに、16年ぶりに取り組む。 これまで弦巻楽団では様々な作品を再演し、多い物では5度も再演していたり、再演作品が条件である演劇シーズンでも『死にたいヤツら』『君は素敵』『センチメンタル』『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』(来月6度目の再演!)などを再演してます。演劇シーズン外でも『ナイトスイミング』『果実』(←これも4回再演!)があります。 しかし『ワンダー☆ランド』を本格的に検討したことはありませんでした。まだ無理だと思っていました。あるいは、意味がないと。

自分の活動はすごく「分かりにくい」らしいのですが(自分ではこんな明快な、丸出しな人間もいないだろうと思うのですが)、再演しなかった理由は

『ワンダー☆ランド』に相応しいメンバーを揃えて再演するのではなく、 『ワンダー☆ランド』に相応しいメンバーが揃ったら再演するのではないと意味がないと感じていたからです。

それは一昨年の暮れにふと頭に浮かびました。 今ならやれるんじゃないかと。

弦巻楽団では演技講座や戯曲講座をずっと、ずーっと続けています。2013年の開講以前も、「ツルマキ・アーケストラ!!!」という名前で断続的に(ですが年に一度は必ず)やっていました。

打ち上げでゼロ役の佐久間に言われたのですが、「自分が楽団の講座を初めて訪れたのが2013年で、そのずっと前から既に『ワンダー☆ランド』が存在したと思うと不思議な気がする。」

観客の方からも、「まるで今回のメンバーのために書かれた台本のようだ」、と嬉しいお褒めの声をいただきました。

その佐久間と知り合ったのは2013年の春の戯曲講座で、一人でやってきた彼は13歳の、これから中学2年生になろうとしているところでした。 その年が初年度の演技講座に応募してきたのがレポーター朝役の池江蘭。翌年オーディションを経て『ナイトスイミング』に出演、講座で『黄昏る泡の国』に参加したのがラーメン屋土方藤役の塩谷舞。

団員の木村は2012年に19歳で「アーケストラ!!!」に参加、 相馬と島田は2015年の講座から参加、

伊能さんも2014年の『夏の夜の夢』で初参加、 鈴山あおいはクラーク高校の教え子から2016年の『ヘンリー六世』を経てずっと受講してくれていて、 今回すごく評価もいただいた岩波岳洋、柳田裕美を始めとする高橋有紀子、斉藤法華、吉井裕香は2017年に講座にやってきました。この2017年組には今回制作としてバリバリ切り盛りしてくれた久慈優花もいました。

それに深浦佑太、村上義典、遠藤洋平、塚本奈緒美、成田愛花、温水元と言ったずーーーっと弦巻楽団を支えてくれた面々、そして近年講座にも出演し良い影響を与えてくれた井上嵩之、田村嘉規、そしてさらに劇団ひまわりの最後の教え子大槻紘照、

そしてそして初演に続いて絶対にこの人!と思っていた長流3平さん。

そうしたメンバーが気が付けば自分の周りに「揃っていたことで」、『ワンダー☆ランド』の企画は動き出しました。

不思議な気持ちになるのは僕の方です。 出会った時には全く考えもしなかった、 「『ワンダー☆ランド』の出演者として相応しい人物」に、 いつの間にかみんながなっていたのです。

なんだ、やれるじゃないか。 それが2017年の暮れに閃いた天啓でした。

奇跡についての物語ですが、 自分にとっての奇跡はもう既にその時に起きていました。 意味がある。自分にとってもう一度取り組む必然も、条件もクリアした。

あとは、手放さずに公演まで育てるだけでした。 (しんどかったけど!!!)

終演のご挨拶だけでも…と思い休日にPCを開いたのですが、書き出すとやっぱりとめどなく溢れてしまいますね。

この辺で切り上げます。 観に来てくださった方、応援してくださった方、ありがとうございました。


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