• 弦巻啓太

また旅が始まる。


1号2号揃った山口さん。

旅から帰ってきた9月25日。そして27日から新たな旅が始まりました。2泊3日の苫前町への旅です。ことし年頭にお話をいただき、苫前町町民劇10周年記念公演の脚本と演出をさせていただくことになりました。ことし唯一の書き下ろし新作。そして久しぶりのドタバタコメディです。タイトルは『結婚しようよ』。結婚披露宴の裏側で巻き起こる家族の繋がりを描いたコメディです。

3月に取材をさせていただいて、そこで聞いた幾つかのお話や、町での暮らしの様が作品のベースになっています。

この脚本、弦巻的「初」が多いのです。まず、出演者30名への当て書きというのが初めてでした。高校生以来20数年、ずっと当て書きでやってきたので今更別の書き方が想像つかないほどなのですが、30名はさすがに初めてです。30人分の人生を考え、登場人物を生み出します。そして、それぞれが絡み合うエピソードを…。 

小学生もいれば、還暦を迎えた方もいます。ベテランもいれば、今回初参加の方も。

全員が一丸となる稽古の姿は、それだけでちょっと感動的です。

この日は配役が最終決定して、初めて弦巻も同席しての稽古。

残念なことにお仕事で出演できなくなった人がいました。残念です。ですが仕方ありません。生活の中で演劇に触れていくのなら、避けては通れない事態です。僕もその方と一緒に舞台作りをしたかったのですが。

しかし、町民劇の皆さんはそれで暗くなりません。また次ぎ一緒にやろうよ。そんな明るさと、タフさがあります。

本番は12月16日。

そして札幌でも『(秋も)舞台に立つ』が本格的にスタートしました。29日と30日で『リチャード三世』のオーディションを行いました。総勢27名!こちらも大所帯です。同じ週に、50人以上の役者たちと作品づくりをするというのは、頭が、その、限界を…。ですが、とても面白かった。言葉に向かい合うと言うことがどんなことなのか、改めて考えさせられ、改めてその豊かさに気付かされました。

今回の公演は札幌劇場祭に参加しての公演です。

しかも大賞を目指してエントリーしています。

楽団員4人と、23人の受講生で挑みます。初心者や、この4月に弦巻楽団の演技講座で演技を始めた人間も多いです。

でも、いけるんじゃないかなと思ってます。

公演のナンバリングも#28 1/2 と久しぶりの「1/2」公演にしました。

弦巻楽団は質の高いエンターテイメントを目指し、模索し、公演を重ねてきました。ジャンルを横断しながら。それは、より「今現在、意味のある舞台を」という想いからジャンルや文体にこだわることを拒否してきたからです。コメディや、SFや、少人数の密室的な会話劇や、大人数の群像劇。

その中で何回も「質の高さ」を問いかけ直しました。「質の高い舞台」とはなんだろう。札幌でそれを作る意義はなんだろう。そもそもその土地と舞台は結びつくべきなのか。

札幌ならではの舞台なんて必要なんだろうか。必要ならなぜ必要なのか。そしてそれは意図的に作られるものなのか。作為なく生まれるべきものなんじゃないだろうか。

長くなるのでそうした思考の流れは稿を改めることにします。

ただ、そうした流れの果てに弦巻楽団の活動はあります。本公演も、講座も、同じ考えが根底にあります。

なので今回リチャード三世のナンバーを「#28 1/2」にしました。準本公演となります。ですがこの姿勢が浸透?し、講座のシステムがより成長すれば、講座のメンバーでの公演も本公演と変わらずに位置付けられていくことでしょう。

「未経験者が頑張ってるから素晴らしいってこと?」と質問されることがあります。だいたいこうした意見には反論したとて無意味なのですが、もちろんそんな意味ではありません。

アマチュアらしさを推奨したい訳でもない。

講座を見学したり、これまでの発表会を一回でも観てくれたことがあるなら、「頑張り」を見せつけるような破廉恥な真似も、「未熟さ」を物珍しくアピールする傲慢な真似も一度も行ってないことは分かるはずです。

傲慢な発言はむしろここからで、

自分は講座でのやり取りの中にむしろ「演劇」を発見します。舞台慣れした(と思っている)演劇人より、経験の浅い彼らの姿に「演劇」を見つけるのです。そこには登場人物として、台詞や肉体を通して交流することで立ち上がってくる「ドラマ」があります。それは「今ここ」で生まれたものです。

だから、むしろこっちだろう、と思っているのです。

近年の弦巻楽団の公演は、そうした講座で獲得した視点や考えがずいぶん活かされてます。

特に2月に上演した『君は素敵』はその最たるもので、10年前の初演と同じ様に芝居作りをしていたら、あんな舞台にもならず、評判ももっと良くなかったでしょう。

札幌で生きてる人間と、じっくりと向かい合って作品づくりをする。その凹凸もまるっと飲み込みながら。質の高い、今ここでしか生まれない舞台を作る。

現状肯定ではありません。

ここからまた旅に出るという宣言です。

 雨が上がって天売焼尻がくっきり。

 舞台を大まかに分けて読み稽古。これで全員じゃありません。

 みんなで作品をより深く理解するための関係図。

 こちらは『リチャード三世』の面々。一名だけ欠席してるので26人。睨んで!と言ったらこんな写真に。

 既に自分たちで場面づくり。

誰が何役か頭に入れるので精一杯。

 背中に文字を書く伝言ゲームでたどり着いた解答。ちなみにお題は『世』。

 宣伝する高校生と暖かく見守る大学生。


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